【令和5年地価調査・九州沖縄エリア概況】熊本県菊池市、大津町の工業地では、TSMCの進出決定に伴い地価は30%前後の上昇となっている。

令和5年7月1日時点における地価公示価格が発表されました。九州・沖縄エリアにおける各都道府県ごとの地価の動向の概況は次の通りです。

 <福岡県
 県全体の平均変動率は、住宅地で+3.3%(前年+2.5%)、商業地で+5.3%(前年+4.0%)、工業地で+9.6%(前年+6.3%)。なお、福岡市博多区中洲地区では、感染対策が個人等の判断に委ねられたことにより人流が回復したことから、飲食店舗等の出店需要は旺盛となっており、地価の上昇が継続している(福岡博多5-6:2,030,000円/㎡、+5.2%の上昇)。
 
 <佐賀県
 県全体の平均変動率は、住宅地で+0.5%(前年+0.1%)、商業地で+1.3%(前年+0.1%)。なお、鳥栖 JCT 等があり、九州の交通の要衝である鳥栖市の工業地域では、物流施設のみならず、製造業の工業用地の需要が旺盛であるが、供給が限定的で、地価は高い上昇が継続している(鳥栖9-1:61,500円/㎡、+13.7%の上昇)。
 
 <長崎県
 県全体の平均変動率は、住宅地で▲0.4%(前年▲0.7%)、商業地で0.0%(前年▲0.4%)。住宅地では、平成11年以来25年連続の下落であるが、直近の3年間は改善傾向にある。また、商業地では、令和元年以来4年ぶりに横ばいに転じた。
 
 <熊本県
 県全体の平均変動率は、住宅地で+0.7%(前年+0.2%)、商業地で+1.7%(前年+0.1%)。なお、菊池市、大津町の工業地では、TSMC の進出決定に伴い、関連企業の進出等が多く見られ、工業地への需要が急激に高まっているものの、用地が圧倒的に不足しており、地価は高い上昇を見せている(菊池9-1:15,500円/㎡、+29.2%の上昇)、(大津9-1:24,000円/㎡、+31.1%の上昇)。

 <大分県
 県全体の平均変動率は、住宅地で+0.7%(前年+0.2%)、商業地で▲0.4%(前年▲0.8%)。なお、大分市横塚の区画整理事業が完了した住宅地域では、付近に令和 6 年春、小学校が新規開校予定であり、生活利便性の向上が見込まれることから、需要が顕著となり、地価は高い上昇を見せている(大分-11:40,000円/㎡、+15.3%の上昇)。

 <宮崎県
 県全体の平均変動率は、住宅地で▲0.2%(前年▲0.4%)、商業地で▲0.6%(前年▲0.9%)。いずれの用途も下落傾向は続くが、下落幅は縮小している。

 <鹿児島県
 県全体の平均変動率は、住宅地で▲1.2%(前年▲1.3%)、商業地で▲1.3%(前年▲1.5%)。住宅地は、平成10年から26年連続の下落、商業地は平成4年から32年連続の下落となっているが、住宅地は0.1ポイント、商業地は0.2ポイント下落幅が縮小している。

 <沖縄県
 県全体の平均変動率は、住宅地で+4.9%(前年+2.7%)、商業地で+4.8%(前年+1.9%)、工業地で+10.0%(前年+12.2%)。なお、恩納村真栄田のダイビング等のスポットである真栄田岬に近い既存集落にあっては、県内外からの移住や別荘需要が強く、地価は高い上昇を見せている(恩納-1:24,500円/㎡、+28.9%)。
 
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