南青山の児童相談所の建設は周辺の土地価格を下げるのか

 東京都港区が南青山に建設を計画している児童相談所に対し住民から反対の声があがっているという報道がありました。また、これ以外にも大阪府摂津市の外国人研修施設や兵庫県神戸市須磨区の看取りの家など、施設建設を巡って地元住民と事業者との間の争いが全国的に見られるようです。

 これらの施設の建設に対して賛成か反対か、立場が変われば意見も変わると思いますので、単純に地元住民と事業者のどちらが正しいか答えを出すのは難しいと思いますが、これらの報道で良く耳にするのが「施設の建設により周辺の土地の価格が下がる」という声です。

 参考までに、土地価格比準表(7次改訂、地価調査研究会編著)では、「規模の大きい変電所、ガスタンク等の危険施設または汚水処理場、ゴミ焼却場等の施設は、住民に危機感、あるいは不快感を与えるものであり、周辺の不動産の価値を減殺するものである。」として、
 優良住宅地域では、最大24.5%の格差
 標準住宅地域では、最大5%の格差
 混在住宅地域では、最大7.5%の格差を設けています。

 ただし、上記の格差は一般鑑定においては、あくまで格差率の目安であり、そもそも児童相談所などの施設が上記のような変電所やガスタンク等の、いわゆる嫌悪施設に該当するかについては、それらの施設に基づく危険性や悪影響の度合いを判定し、それらが周辺の土地需要や土地価格にどのような影響を与えているかを実際の取引事例などを通じて慎重に判断していく必要があります。したがって、鑑定評価上、施設建設の計画段階において、周辺の地価に与える影響を判断するのは困難であると考えます。

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